「四月のうた」あとがき。

 イギリスが、「まるで一人娘を嫁にやっちゃった父親みたい」と言われているのをどこかのサイトさんで拝見しましたが、まさにアメリカ独立に対するイギリスの感情はそんなものだと思います!! いつまでも過去が忘れられなくて、すっごく切ないんだ。娘(誤)は完全に自分を裏切ったわけじゃないんだってわかってるのに、裏切られた気がするのはどうしようもなく本当で、すごくすねてる。萌!!
 娘も娘でパパのことが嫌いだから嫁に行ったわけじゃないのに。パパにそう思われてることはすごく苦しい。特に自分が過去にどれだけ愛されていたのかを見るにつけ。でも今の生活だって幸せ。

 イギイギが過去に戻っちゃう話が書きたかった。戸惑いながらも昔を懐かしみながら、アメリカに優しい笑顔を返すのだろうな、と。
 じゃあ、アメリカは? と思ったところからやけに話が肥大化してくる。
 アメリカかぁ……過去に戻ったら、優しいイギリスの笑顔に何も言えなくなって、かわいそうだから子供の演技を続けてあげるんだろうなぁ。
 そこまで考えて、「二人が同時に過去に行って、けどそんなことはお互い知らないから、お互いお互いのことを考えて、そ知らぬ演技をしている――」なんて展開って、ひょっとしてものすごく萌!?
 と、思いついたのが「四月のうた」でございました。夏なのに四月ってどうよ……。
 イギリス視点を「四月の詩」、アメリカ視点を「しがつのうた」とさせていただきましたが、メインはあくまで最初に思いついたイギリス視点の方。アメリカ視点はその裏話というか、「あぁ、このときアメリカこんなこと考えてたのね……ぷぷっ」とその程度に楽しんでいただければ。
 実は最初は「七月のうた」でした。独立記念日が7月だから。でも考えれば独立戦争ってもっと前から始まってたんだよなぁ、と。宣言はトドメのダメ押しのようなものにすぎないので、イギイギのショックは実は初めて銃を向けられた時からなんじゃないかと。
 それで、レキシントン・コンコードの戦い前夜にスポットを当てました。
 過去の話だからしょうがないけど、「イギリスはいつから紅茶を飲んでるの?」とか「ソファっていつからあったの?」とか「蒸気機関はいつの発明なの?」とか些細なことに引っかかって、その都度うじゃうじゃ調べるハメに……。ものすごーーーく面倒くさかったですが、いい勉強になりました。それでも元ネタは大部分ウィ●ペディアなのであまり信頼しないで下さい。
 受験生時代お世話になった某山●出版の単語集とかも駆使したりして……夏休みだからこそできた長編。浪人生時代ガリ勉した(キモイ)甲斐があったぜ、なジャンルでちょっとはしゃいでます。

 アメリカがどうして独立したかとか、そんなのは当時のアメリカ人でもなんでもないので捏造にすぎません。当時のイギリス人がそれに対してどういう感情を抱いたのかも。私のような青二才の日本人が軽い憶測で書いていいことかもわかりません。
 だからあんまり独立ネタ書く気はなかったんですが、やっぱりアメリカイギリス二人の恋物語の中では避けて通れない感情もあるんじゃないかと、そういう恋物語の一端として捉えていただけると幸いです。現実の国家関係とは切り離して。
 最初にも言いましたが、気分はある一人の男の「娘に嫁に行かれたパパン」な気持ちなので。

 ではでは、これからも米英萌が繁栄し、皆様の生きる希望と悦びであり続けますようにvV

神川ゆた


頭が混乱するのでメモっておいた年表↓↓

1629マサチューセッツ植民地建設
1640ピューリタン革命
1649コモンウェルス
1652英蘭戦争
1660王政復古
1667南ネーデルラント継承戦争
1672オランダ侵略戦争
1682ルイジアナ
1688名誉革命
1688ファルツ継承戦争
1689第二次英仏百年戦争(ウィリアム王戦争〜ナポレオン戦争)
1701スペイン継承戦争
1740オーストリア継承戦争
18世紀後半、産業革命
1755フレンチ=インディアン戦争(1756七年戦争)
1763パリ条約(ミシシッピ以東のルイジアナ、仏→英。以西は仏→西)
1764砂糖法
1765印紙法
1767タウンゼンド諸法
1773ボストン茶会事件
1774ボストン港閉鎖
1769ワットの蒸気機関
1774第一回大陸会議
1775〜83アメリカ独立戦争(ジョージ三世)
1776独立宣言

 よく考えればこれって、何の理由もなく過去に飛ばされて150年くらい帰ってこれなかったという、普通は話として成り立たないようなありえなさです。
 もちろん途中で気づきましたが、「国である彼らにとっては150年なんて感覚的には3年くらいなもんかな!」とわけわかんないこじつけで続行。

















 ここまでお付き合いくださった皆様に、心から感謝申し上げますvV


(2007/9/2)



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